六花の騎士
そっと、赤い癖毛をなでる
泣き疲れてベッドで眠るユリアをレイドは見下ろす
そこへ、静かな声がかけられた
「君は主を選んだんだね」
「……ああ」
「僕には出来ないよ。元々騎士には向いてないんだろうね」
「だろうな。オーガレス」
黒髪の少年、オーガレスはクスリと笑った
「そんな僕に面白い話しが来たよ」
「面白い?」
「アルメリア様の騎士になれって」
驚いてレイドは振り向く
赤い瞳と目が合った
「どうしてだ?」
「今すぐってわけじゃないよ。あと2、3年したら六花の騎士に任命するってさ」
「アルメリア様直々にか?」
「そう」
オーガレスは肩を竦めた
アルメリアが何を考えているか知らないが好都合だ
「レイドはユリア様を守るのか?」
「ああ」
レイドの目を真っすぐに見て、オーガレスは言う
「なら、僕に協力してくれ……」
「アルメリアを……止める為に」
優しげな紫紺の瞳を思い出す
マリオンとの約束も……
『ねぇ、オーガレス君。もし、私がいなくなったら………………アルメリア様を止めてくれないか?』