六花の騎士
何気なくリアは言ったが5年ほど前のことだ
ミラは顔を引きつらせる
「その頃、貴方は10歳ぐらいじゃない。あり得ないわね……」
「リアは規格外だからね。その頃からアルメリアはひどくなってたよ……マリオン様の事について、俺の父は何か知っていたようだけど」
苦笑したアルフレッドにオーガレスは淡々と言った
「ウォルター伯爵以外にも何人かアルメリアに手をかしてる……」
ミラはアルフレッドの前にある机に資料らしき紙を広げる
「隠ぺいしてきたんでしょうね。誰かがもみ消した疑いのある事件のリストよ」
リストを覗き込んだアルフレッドは眉根を寄せる
「トーワの事件もアルメリアが関わってたのか……」
トーワが5歳ほどで召し上げられた時に起きた悲劇的事件
それにもアルメリアは関わっていたのだ
「まぁ、なんにせよこれ以上アルメリアのすきにさせるわけにはいかない」
アルフレッドは口元に笑みを刻んではいるが、瞳には鋭い光が灯っていた
「世界の均衡を乱すわけにはいかない」
部屋には暖かい日射しが差し込んでいる
外から少女たちの声が微かに聞こえる
一見、世界は優しげに見えるがアルフレッドには
残酷にしか見えなかった