六花の騎士



パーティーは王都サンブリカにあるウォルター邸で行われた


「フレッド、ちゃんと襟をなおして」


幼い子どもに言い聞かせるようにアルフレッドの母は少し崩れた襟を直す


「母上、もう子供じゃないんですよ?」

「私からしたらいつまでも子供なのよ?…………そんな貴方が、もう当主になるなんて……」

「………」


しんみりとしてしまった空気を凪ぎ払うようにアルフレッドは笑って見せた


「大丈夫ですよ。ウォルター家は私が守っていきますから、母上はお体の心配だけしていて下さい」


アルフレッドと同じサファイアの瞳を和ませて、母は微笑んだ










ミラはウォルター邸の鏡を覗き込んで、もう一度身だしなみを確認する


(ちょっと……派手かしら?)

「どうしたのミラ?」


鏡の前で悩んでいると突然後ろから声をかけられる
驚いて振り向けば見知った顔がいた


「キャリベル!脅かさないでよ。びっくりした〜」

「なによ、人をお化けみたいに。……ふーん。心配しなくてもそのドレス似合ってるわよ?」


ミラが見ていた鏡を見てキャリベルが意地悪そうに笑う


「べっ別に……その……」



関係ないのよ?
フレッドが話があるなんて言うから……うんん、パーティーなのよ!
おめかしして当然じゃない、特別な意味なんてこれっぽっちも…………ないわ………



ミラは頬を赤くして、キャリベルから顔を背けた







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