六花の騎士



まだ朝早く、扉を叩く音に振り向いてティアは扉に向かった


「おはよう、オーガレスだ」

「はい」


扉の向こうからかけられた声に淡々と返事をして、素早く扉を開く
白い軍服を隙なく纏ったオーガレスがにこりと笑った

「やぁ、朝早くにすまない」

「いえ」


淡白な反応にも嫌な顔をせず、むしろにこやかにオーガレスは笑う


「とりあえず立ち話もなんだから、失礼させてもらっていいかな?」


「あっ……その」


「今は都合が悪い?」

「実はこれから、メノリ様の乗馬につきそうことなっていますので」



すると隣の部屋からメノリが飛び出して来た
乗馬ようの簡素なシャツとパンツ、ブーツをはいていたが心なしか乱れている
慌てて出てきたのだろう


「わぁ!寝坊しちゃった……アレ、オーガレス様?」


奇妙な沈黙が落ちる
しかし、ティアは淡々と言った


「メノリ様、時間ならまだ大丈夫です。まずは服を整えましょう」


メノリは顔を真っ赤にして自分の部屋へ飛び込む
メノリは勘違いしていたようだ
オーガレスの前でみっともない姿をさらしてしまい、乙女心はずたぼろだったが





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