六花の騎士



アルフレッドは珍しく驚愕を全面に出した


「……それは本当に?」


「ええ。水属性の血縁者でなければ有り得ない能力も持っていました。……頼めば貴方にもアレを見せてくれるでしょうね」


何処か苦く語るオーガレスにアルフレッドは内心オヤッと思う
オーガレスはここまで誰かに感情的に肩入れすることはない

いつも冷静沈着
それが英才教育によって作られたこれまでの彼だったが……それが剥がれかけているいように思った
だが、今はそんなことにかまってはいられなかった


「とにかく、アルメリアの秘密がわかった。なぜ、水属性の天使達を殺してきたのか……おそらく」


アルフレッドの言葉を引き継いでオーガレスは言い切った
これまでのアルメリアの行いの根源にあったもの


遠い日の緋色の双子


「王族、樹木の属性をもつアルメリア。彼女はかつて水属性の天使だった妹を亡くしたことによる妄執で、同じ水属性の天使をあまた殺害した。……そうすれば妹が帰って来ると信じて」




いったいこれまでどれだけの犠牲が払われたのか解らない
アルメリアの執着のために
アルフレッドは静かに宣言する


「これは許される事ではない。王族といえど、いや。王族だからこそ、これは正されなければならない」



これは王への断罪



「アルメリアを王族から引きずり下ろす」





マリオン


こうなる事が彼の望みなのかはわからない
しかし、呪われた運命を断ち切るのなら
今しかないではないか……………






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