六花の騎士
オーガレスが書斎から退出するのと入れ違うようにミラが入ってきた
「失礼します」
「……やぁ」
アルフレッドは力なく手を挙げる
ミラは視線を床から外さずに呟く
「始めるんですか」
「…………」
『呪われた運命を断ち切ってやってくれ……私には出来そうにないんだ……』
マリオン、貴方は分かっていたのか?
俺が王族になることを?
貴方の妹が鍵になることも
その答えはわからない
しかし、全ては動こうとしている
アルフレッドは自らの騎士を見据えた
「ああ……全て、終わらせる」
優しく木漏れ日が降り注ぐ木の下で、トーワは右手を握り締めた
「キャリベル……」
「お任せ下さい。何にかえましても……必ず」
開いた拳の上にあがる炎
それは何かに包まれるように小さくなる
キャリベルが何かと相対するように目を細めた
すると、小さくなった炎はグッと凝縮して消えた
「やったな」
薄く口の端を上げてトーワが言えば、一つ息を吐いてキャリベルも微笑む
「はい」