六花の騎士
正直、ここまで足止めされるとは思っていなかった
オーガレスは最後の1人を気絶させると振り返る
「大丈夫か?」
ティアとキャリベルは頷く
アルメリアの温室がある中庭まで行くための回廊で狂信部隊と出くわしたのだ
どうにか全員気絶させたがアルメリアはこんな強行手段を使うほどに焦っているのだろうか?
また走りだすと直ぐに温室が見えてくる
ティアが中庭に足を踏み入れるとソレは起こった
「ヤバイ!来るぞ!」
トーワが叫ぶ
地面が唐突にひび割れ何かが這いずるように出てきた
木の根だ
「アルメリアの能力だ気を付けろ!」
トーワが右手を振りかざし蠢く根を炎で焼き払う
力を押さえているのかトーワはこめかみに汗を流して集中している
ティアとオーガレスがその隙に温室に向かうが、また奴らが集まってきた
新手の狂信部隊が行く手を阻もうと向かってくる奴らをキャリベルが押さえ込む
「先に言って!」
「キャリベル!」
「ここは任せて」
ティアとオーガレスに微笑みキャリベルは剣振るった
一つ頷き、ティアは再び走りだす
トーワはソレを追おうとする奴らを阻む為、炎上網を張った
「消し炭にされたくない奴はサッサと下がれ!」
炎に囲まれ、一瞬怯んだように見えた男たち
しかし、瞳をギラつかせ剣を構える
仮にも王族のトーワ相手に殺気を放つ
(穢れた天使に遠慮はないか)
こういう状況だが、自分で思っているより心は静かな水面のように凪いでいる
それはあの少女のおかげだろうか?
彼女がアルメリアに捕われていると思うと、マリオンを見送るしかできなかった雨の夜を思い出す
その時に似た焦りはあるが炎が暴走する気配はない
足に絡み付こうとする根を焼き払う
アルメリアに対する暗い気持ちも焼き払うように