六花の騎士
ネイテル城
その広い廊下を歩きながらリアはふと、足を止めた
城の庭に巣を作るつばめがを見つけからだ
しかし、その巣がある枝が、今にも折れて落ちそうだった
巣には卵があった
親鳥は為す術もなく飛び回っている
リアがせめて落ちても卵が割れないように、枝の下に駆け出した瞬間、突風が吹きわたった
思わず目をつぶると、飄々とした声が降りてきた
「人間が触ると親鳥は卵を育てなくなるんだ」
少年の声?
瞳を開くと、空中から飛来する15、6の少年が地に降り立った
風に巻き上げられた髪は紅(くれない)の色
大人びた黒い瞳がリアの青い瞳と交差する
「人の匂いがつくからね」
見上げると巣は安全な太い枝の間にあった
「貴方は……」
「俺?」
少年は屑籠に捨て去るような調子で言った
「ああ、王族王族」
そう言いながらロットはヒラヒラと袖を振った