六花の騎士
瞬くように
柔らかな風が頬をなでていく
それを感じながらリアはロットと共に政務の講義を受けるため、ネイテル城の一室へ向かった
「おはよー」
明るい声音は、雷の属性ユリアのものだ
「はよ。早いな、いつもは遅刻する癖に」
「いつも遅刻してるわけじゃないわよ」
頬を膨らませて、ユリアは机に頬ずえをついた
十四才のユリアと十八才のロットは比較的仲が良い
「よっロット」
「……ゲッ」
「ゲッ、とはなんだゲッとは、失礼な奴だな〜」
陽気な調子で話しかけてくるレイド・コルテウスにロットは、眉間にしわを寄せる
「……もっと敬意を持ったらどう」
「お前が気安くしてくれていいって、言うからだろ」
「……言ってないよ」
「レイドは気安すぎます」
すかさずリアがつっこんだ
「まぁまぁ、気にすんなよ」
あっけらかんと笑い飛ばすレイド
「そういえば、お前ら『水流の天使』に会ったのか?」