六花の騎士



「緊張なさらないで、今日は楽しんでもらいたいから」

「ありがとうございます……」



お礼を言って、チラリと右隣をみる
少年、おそらく16、7才の少年は不機嫌そうな表情で静かに座っていた


深紅の髪に深い緑の瞳か吸い込まれそうなほど、美しかった


端整な顔立ちに不思議に惹き付けられる
その後ろに控える騎士は、何度か会ったことがあった
確か、キャリベル・ライレット


『真紅の薔薇騎士』優しげな面差しと黒い艶やかな髪の美人さん



「初めてまして」



ペコリと頭を下げると不機嫌そうな顔がうっすらと微笑む


「初めましてメノリ嬢……僕はトーワといいます。」


笑った顔にドキリとした次の瞬間、メノリ以外には聞こえない声で低く呟いた



「水流の天使がこんな使えなさそうな奴だったなんてな……」




その瞬間、メノリの思考は凍結した




(………え?)




メノリの驚きは声にならなかった








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