泡姫物語
「お見合いの話、うまくいったら私は淋しいな。でも、いいひとだといいですね」

落ち着きを取り戻していつものように応援する。
いつもなら心底応援しているが今は応援しているふりだけど。

「明日がお見合いだから来週来る時にはその報告が出来ると思う。僕自身があんまり乗り気じゃないかつまらない報告になってしまいそうだけどね」

「私はうまくいかないほうが嬉しいですよ？だって藤田さんがほかの女の人を好きになっちゃうのは嫌ですもの」

本気で好きだと悟られない程度にアピールしてみたが、藤田さんには営業トークだと思われてしまったようだ。

「そういう風に言われるとお見合い自体行くのを止めようと思ってしまうよ。君のご希望通りになると思うから次回の報告を楽しみにしておいてね」

「そんなこと言わずに素敵な時間を過ごしてきてくださいね」

そんな余裕ぶった態度を取りながら内心はうまくいかなかったという報告を楽しみに待っていようと思っていた。
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