泡姫物語
昔もこうやって褒められていたけど、なんだかとても照れる。
もちろん修君は昔と同じ気持ちで言ってくれただけだろうけど。

もっと距離を縮めたい。仲のいい友達から彼女になりたい。
修君に会って、その気持ちは増すばかり。
『好きです』って言葉が喉の奥まできていてうっかり言ってしまいそうな勢いだ。

「ねぇ愛子、友紀は好きな人がいるって言ってたけど、愛子は今どうなの?」

このタイミングでこの質問。
私の心を読まれているのだろうかと思ってしまうほどのグッドタイミング。

どう答えようか。ここで急に告白するほどの勇気も自信もない。
でも、嘘もつきたくないな。

「うーん……」

何て答えるのがベストか考え込んでしまう。

「すぐに答えないって事は誰か片思いの相手がいるんだな?当たり?」

図星すぎてドキッとした。

「ほら、当たりだろ?彼氏がいたり、逆に誰もいないならすぐに答えられるもんな」

あぁ、確かにそうだ。
あっさり見抜かれてしまった。

「うん。その通り。今は完全に私の片思いなんだけどね」

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