泡姫物語
「なんかそれって妹を大事にするお兄ちゃんみたいじゃない?私にもしお兄ちゃんがいたらそうやって言われたりするのかな」

修君が面白いことを言うからばれるんじゃないかと緊張していた気持ちが一気にほぐれて思わず声を立てて笑ってしまった。

「ちょっと愛子ぉ、俺これでもマジで言ったんだよ」

勘弁してよ、といわんばかりの仕草をしながら私の頭をくしゃっとなでる。

――そんな不意打ちされたらどんな顔すればいいかわかんないじゃん。

絶対顔赤くなってる。胸がキュンキュンしてきっとふにゃっとした顔になってる。
ダメ。顔上げられない。
頭に手をやったまま修君が私の顔を横から覗き込む。

「だっ、ダメっ。恥ずかしいから見ちゃイヤぁ」

「なんだよぉ。昔はいつもこうやってたじゃんか。今よりもっと背が低くて頭に手を置くと怒ってたじゃんか」

ちょっとすねた口調で口を尖らせる。
話しながら頭をなでるから自分のドキドキが修君に伝わらないように抑えるので精一杯。
頭の中がピンクのような白のようなふわふわした気分でごちゃごちゃになっている。
< 113 / 200 >

この作品をシェア

pagetop