泡姫物語
「ところで藤田さん」

「なんだい?」

ちょっと間を空けて、深呼吸した。

「前回お話していたお見合いの件って……」

「あぁ、そうだったね」

今思い出したかのような反応。
やっぱり大したことなかったのかな。

藤田さんが話を始める。

「お見合いに来た人は僕の1つ下で優しそうな雰囲気だった。現役の看護師さんで、定年までお仕事をしていたいっていう立派な意思を持った女性で、人として素敵な方だったよ。結局食事をしてそのまま解散しちゃったけど」

「そうなんですか。私も聞いた感じ、素敵な女性っていう印象を受けました。お見合いはそれで終わりだったんですか?」

「それが僕にもよくわからないんだ」

え?どういうこと?
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