泡姫物語
部屋に入るとすぐに私のほうから話を切り出した。

「この前お会いした時にもっとメールしようって話していたのに、結局翌日以降メールしないままでしたね」

「そう約束したのにごめんね。なんて送ろうか迷っては送信できずにいたんだ。君からのメールもなかったからそんなに毎日送るものじゃないのかと思ってね」

「私も同じこと考えていました。藤田さんにとって、毎日メールが来るのは嫌なんじゃないのかなとか、色々考えたらメール出来なくて」

それを聞いてふふっと笑みを浮かべる。

「僕ら、本当に考え方が似ているんだね。おもしろいくらいに」

「そうですね、まさか藤田さんがそういう考えでいるなんて思いもしませんでしたよ。ちなみに、私はいつメールくれても嬉しいですよ」

「それを言ったら僕だってそうだよ。だから、自分から送っていないくせに送って来てくれるんじゃないかって楽しみにしている自分がいた」

そんな風に思われていたならメールしとけばよかったな。
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