泡姫物語
修は兄弟のような存在で、久しぶりの連絡に心が踊った。
それにしても上京するってことは東京に就職するのかな。
普通なら今年の春に大学を卒業して、もう入社しているんじゃないのかな。
少し疑問に感じたが修が東京に来るなら直接聞けばいいことなのでまずは返信だけしておいた。


【久しぶり!】

懐かしいね!元気だった?

いつ来るの?
こっち来たら連絡してね!

    友紀


するとすぐに修から返信が来た。


【無題】

相変わらず友紀のメールはシンプルな内容だなぁ。

今月中に行く予定なんだ。
また連絡するよ!

     修


余計なお世話だ、と思いながらもちゃんと私のことを覚えていてくれて嬉しい。

高校時代、女の子の間では絵文字をたくさん使って可愛いメールを作成することが流行っていて、いかに他の子より可愛いメールを作れるか夢中になっていたが、私は興味がなくて絵文字の使い方すら知らなかった。

修はなぜか割とモテるほうで女の子から可愛いメールが届いては私に見せて少しは見習えと言ってきたものだ。

そう言われてちょっと悔しかったので、愛子に教えて貰いながら修に送信すると友紀らしくないと笑われた。
それが可愛いメールを送信した最初で最後だった。
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