泡姫物語
「私もっと藤田さんのこと知りたいです。たくさん聞かせて下さい」

「僕の話でよければ聞いて貰えるかな。」

少し照れた様子で藤田さんは語り始めた。

「僕はこんな風貌だから昔から全然モテなくてね。もちろん彼女がいた時期もあったんだけど、当時すごく好きだった彼女に実は本命の彼氏がいると発覚したことがあったんだ。僕はただの浮気相手で彼女にとっては遊びにすぎなかった。僕なりに真剣に付き合っているつもりだったし、本気だっただけにダメージは大きすぎて女性不信になりかけたんだ」

藤田さんにそんなことがあったなんて――悲しすぎる。

「そんな時、誰かにすがりたい気分になってふらりと吉原にたどり着いたんだ」
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