泡姫物語

「わかった。ついでにシーザーサラダも作っておくね」

「私たちのフルコースなんて修君も贅沢だよね」

確かに修の誕生日でもないのに私と愛子が手料理をふるまうのは不公平かも。

「修には贅沢すぎるから、なにか手土産でも持ってきて貰おうよ」

「やっぱり友紀もそう思った?じゃあさ、食べ物はあるから飲み物持参っていうのはどうかな」

可愛いのにそういうとこは私よりちゃっかりしてる。
修にはパスタに合うワインを買ってきてもらうことにして、さっきのメールに続いてワインを注文しておいた。

愛子と別れて帰宅した後、修が家に来るのなら懐かしい話に花でも咲かそうと昔の写真を用意しようと大きなダンボールの中から卒業アルバムと自作のフォトアルバムを引っ張り出した。
上京したての頃はホームシック気味で、よく昔の写真を眺めていたのだが今はむしろ過去より未来を見つめるようになっていたため自分でも久しぶりに昔の写真を見た。

修のイメージは写真のままで止まっているから特に気にならないけど、私と愛子がとても幼いことに笑えた。
お互いずっと一緒にいて昔と全然変わらないと思っていたけど少なくとも見た目は大人になっているんだと実感させられてしまった。

修は変わっているのかな。あいつのことだから久しぶりでもすぐに分かりそうだな。
懐かしい写真の山に夢中になっていたらとっくに深夜を回っていた。
今が深夜だと分かると急に強い眠気が襲ってきて、アルバムも開いたままソファーで眠ってしまった。
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