泡姫物語
タクシーの中で、いつもとは違う環境に緊張を覚える。
もっと藤田さんの甚平姿を見たいが恥ずかしくて見れずにまっすぐ前を見ていた。

「これから向かう場所なんだけどね、花火大会はすごい人混みだから万が一はぐれてしまったら大変だし、君のお友達に遭遇したりしたら申し訳ないと思って花火の見えるホテルを予約しておいたんだ」

そんなに考えてデートプランを立てていてくれたんだ。
なんだか本当のカップルみたいで嬉しいな。

「そういう場所から花火を見たことないから嬉しいです!花火や夏祭りは大好きなんですけど人混みは苦手なんです」

「僕もそうなんだよ。僕なんか太っているからただでさえ夏は暑いのに余計に汗をかいてしまうんだ」

花火大会の交通規制で少し時間がかかったようだが目的地に到着した。
見たことある有名なホテル。中に入ったことはなかったが、安いホテルじゃないことだけは分かる。
フロントでキーを受け取り、エレベーターで最上階へと上がっていく。
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