泡姫物語
私はさっきの言葉で気になることがあった。

「藤田さんが言っていた特別な日って、もしかして今日何かあるんですか?」

「あぁ、それはね……」

ちょっと言いづらそうにしている様子を見て、聞いちゃまずかったのかと思ったが間を空けて話を続けた。

「実は、今日は僕の誕生日なんだ」

まさかそんな返答が帰ってくるなんて思わず動揺した。

「えっ!そ、そうなんですか?ごめんなさい。私なにも用意してない上にこんな素敵なホテルに連れて来て貰っちゃって……」

「いや、いいんだ。変に気を遣わせてしまうんじゃないかと思って言わないでおくつもりだったんだ。僕にとっては一緒にいて祝ってくれるだけで最高のプレゼントだよ」

「じゃあ精一杯お祝いしますね!」
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