泡姫物語
「実はこの部屋、半年前に予約入れておいたんだ」

「そんなに前に?でもまだ私と出会ってないですよね」

「うん。この部屋は去年の冬頃だったかな次の僕の誕生日が隅田川の花火大会と同じ日になることに気が付いて、相手もいないまま部屋だけ2人で予約をいれておいたんだ」

「じゃあ、予約を入れてから一緒に行く相手を探したってことですか?」

「そうなんだ。30歳の大台に乗るから、なんかいつもの誕生日と違って特別に感じてね。先にホテルを予約しておいて、素敵な女性に出会うことが出来たら一緒に花火を見て乾杯しようって決めてたんだ」

――ん?待てよ。どこかで聞いたようなセリフ。

『次に理想の人に出会うことが出来たらアタックする』

そうだ。私の決意に似ているんだ。こんなところで共通点が見つかるなんてこれは本当に運命というやつかもしれない。
< 73 / 200 >

この作品をシェア

pagetop