泡姫物語
「おかえり!どうだった?」

いい報告を期待しているようなまなざしで私を見つめる。

「うん、楽しかったよ。とりあえずタクシー乗ろうか」

お客様はもちろんだけど、ソープ嬢がお客様に恋するのもご法度。
他の人に聞かれて店長に知れたら即刻クビになってしまう。

タクシーに乗ってすぐに今日の報告をした。

「藤田さん、誕生日だったんだね。知ってればプレゼント用意したのにねぇ」

「でも、私がお仕事で付き合ってくれてると思っているからそこまで気を遣わせるのは申し訳ないと思ったんだってさ」

「そういう考え方、藤田さんらしいね」

「うん。私からは何も出来なかったけど、結果オーライだよね」

お客様とソープ嬢という壁の大きさを感じる一日にもなったが、きっと乗り越えられる。乗り越えてみせる。
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