泡姫物語
「ごめん、今までそんな話しなかったからびっくりしたでしょ？」

「うん、すごいびっくりだよ！いつから？っていうか付き合ってるの？」

「ううん。私の片思いなんだ。自分自身好きだっていう気持ちに気付いたのもつい最近のことなの」

自分の恋愛のことで頭がいっぱいだったせいか、単に私が鈍感なのか、最近といえば私はいつものように生活のほとんどを愛子と過ごしていた。
なのに誰だかさっぱり見当がつかない。

誰かそういう人なんていたっけ？もしかして店長とか？
私がここ最近の出来事を順に思い出している途中で愛子が話を続けた。

「友紀はよく知ってると思うけど、私って全然恋愛に興味なかったし、そのテの話から遠ざかりすぎたせいで自分のドキドキとか、気が付いたら彼のこと考えてるとか、そういうのが恋だって気付かなかったんだ」

「それって私が愛子に藤田さんに恋してること指摘された状況に似てるね。私たち、変なとこで合うよね」

「あはは、そういえばそうだね」

お互い、人の恋愛には興味あるのに自分自身に対しては鈍感。
恋愛から離れすぎたせいか、どういうのが恋愛なのか忘れていた。
< 79 / 200 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop