泡姫物語
やっといつもの蘭に戻り接客を続けていく。

頭がお仕事モードだと身体に触れてもキスをしてもトキメキはない。

よく女の子に嫌われるタイプのお客様が

「気持ちいいことして稼げて楽な仕事だね」

なんて台詞を吐くが、基本的にそれは有り得ない。

きっと女優のキスシーンもそうなんじゃないかとお仕事してみてわかった。

だから普段はムードを盛り上げる演技をし、頭の中では次の段取りや残り時間などを計算している。

さすがに今は少々緊張していて、思わず素の友紀に戻ってしまわないように意識を集中させていた。

この店は100分コースなので、お客様のタイプにもよるが基本的にゆっくり会話を楽しむ時間がある。

中にはダブルといって200分でたっぷり楽しむお客様もいる。

シャワーを浴びてボーイにドリンクを注文し、残りの時間は会話を楽しむことにした。
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