眠りの森
そう言うとザインさんは出ていってしまった。天使の鈴が、微かに響いている。
わたしは深く椅子に腰かけた。
ザインさんのお店は取り扱っているものが珍しいから、人も中々来ない。お客もリンナさんとか特殊な職業の人に限定されてしまう。
だからといってザインさんのお店のものを手にとって遊ぶこともできない。ザインさんのお店には危ないものもたくさんあるらしいから。
わたしは勝手に回っている球体を見つめる。どうしてこれは回っているんだろう。
くるくるくるくる。くるくるくるくる。
どうして――。
「おい。」
「・・・。」
「おい。」
頭がぼんやりとしている。でも、誰かがわたしの肩を揺すっていた。
わたしは無理矢理目を開けようとする。嫌だ、と言うように瞼が重くて中々開かなかった。
それでも無理矢理開けると、男の人が立っていた。ぼんやりとしかわからないけれど。
段々とはっきり見えるようになってくる。
その男に人は剣士だった。わたしと同じくらいの年代のようだ。緑の瞳。ユーファのライトグリーンとは違う、深い深いオリーブグリーン。木の色の髪によく似合っている。
「君、この店の子。」
わたしは首を振った。
どうやら、店番をしている間に眠ってしまっていたらしい。顔が真っ赤になる。
「まいったなぁ。」
彼は困ったように眉をひそめて頭を掻いた。
「ザインさんにご用ですか?」
「うん。そうだ!」
彼がわたしの手を握る。恥かしくて、顔から火が出そうだ。
「これと同じものなんだけど。」
そう言って彼はわたしに腕を見せた。その腕には、何の変哲もなさそうな紐が巻き付いている。だが、その紐には緑色の鈴が着いていた。
「用意できる?」
わたしは頷く。
これに似たものなら、以前カウンターの引き出しのなかで見たことがある。
「ちょっと待っててください。」
わたしはカウンターに向かった。どの引き出しか思い出せなかったので、右上の引き出しから片っ端に調べる。
すぐにそれは見つかった。彼の着けているものより、色が少し薄かったけれど。
なので他に違うところはないか、わたしは不安になる。だから、彼の腕を持って見比べてみた。
と。
「危ない!」
何かが弾けた。
「きゃ!」
痛い痛い痛い痛い痛い!
わたしは深く椅子に腰かけた。
ザインさんのお店は取り扱っているものが珍しいから、人も中々来ない。お客もリンナさんとか特殊な職業の人に限定されてしまう。
だからといってザインさんのお店のものを手にとって遊ぶこともできない。ザインさんのお店には危ないものもたくさんあるらしいから。
わたしは勝手に回っている球体を見つめる。どうしてこれは回っているんだろう。
くるくるくるくる。くるくるくるくる。
どうして――。
「おい。」
「・・・。」
「おい。」
頭がぼんやりとしている。でも、誰かがわたしの肩を揺すっていた。
わたしは無理矢理目を開けようとする。嫌だ、と言うように瞼が重くて中々開かなかった。
それでも無理矢理開けると、男の人が立っていた。ぼんやりとしかわからないけれど。
段々とはっきり見えるようになってくる。
その男に人は剣士だった。わたしと同じくらいの年代のようだ。緑の瞳。ユーファのライトグリーンとは違う、深い深いオリーブグリーン。木の色の髪によく似合っている。
「君、この店の子。」
わたしは首を振った。
どうやら、店番をしている間に眠ってしまっていたらしい。顔が真っ赤になる。
「まいったなぁ。」
彼は困ったように眉をひそめて頭を掻いた。
「ザインさんにご用ですか?」
「うん。そうだ!」
彼がわたしの手を握る。恥かしくて、顔から火が出そうだ。
「これと同じものなんだけど。」
そう言って彼はわたしに腕を見せた。その腕には、何の変哲もなさそうな紐が巻き付いている。だが、その紐には緑色の鈴が着いていた。
「用意できる?」
わたしは頷く。
これに似たものなら、以前カウンターの引き出しのなかで見たことがある。
「ちょっと待っててください。」
わたしはカウンターに向かった。どの引き出しか思い出せなかったので、右上の引き出しから片っ端に調べる。
すぐにそれは見つかった。彼の着けているものより、色が少し薄かったけれど。
なので他に違うところはないか、わたしは不安になる。だから、彼の腕を持って見比べてみた。
と。
「危ない!」
何かが弾けた。
「きゃ!」
痛い痛い痛い痛い痛い!