あの時に戻れたら【短編】
「うん、食べる。お父さんのは?」


「ないな…カップラーメンでも食うさ」


「体に悪いでしょ!じゃあラーメンと炒飯半分こしようよ!」


「加奈子もラーメン食いたいだけだろ?」

お父さんがもう1人の私に笑った。私は膨れながらプイッと反対を向いてテレビを見出してしまった。


「お父さんのバカ!もう1人の加奈子はお父さんを純粋に心配してるんだよ」


「そうか…」

小さく呟くとお父さんはラーメンを作り出して、炒飯をレンジにかけだした。もう1人の私が台所を覗きに来た。


「お父さん、珍しいね。いつもなら”加奈子、やってくれ”って言うのに。」


「たまにはな、加奈子には感謝してんだよ」


「何言ってんの!?恥ずかしいな。お腹減ったから早くしてよ!」


「はいよ〜」


お父さんは嬉しそうだった。でも、私の後ろ姿も嬉しそうだった。

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