チョコレートとキミ
だけどやっぱり
憧れだろうとなんだろうと自分にとってどんな形でも
確かに自分の心の中に存在してる先輩に
彼女が居たりしたら
寂しいし、ショック…
だいいち私は確かに先輩に恋をしてたんだから
悲しいに決まってる
結局渡せずに帰って来てしまった私は
鞄の中に入ってるチョコレートなんて見たくなくて
ずっと鞄を開けられずにいた…
そんなとき
“ガチャッ”
私の部屋のドアが開いた
えっ?
眉間にシワを寄せて
ドアの方へ目を向けると
『春輝?』
そう…幼なじみの春輝が立っていた…
隣に住んでる春輝が
私の部屋に入って来ることなんて
珍しくもないから驚いたりしない
「瑠雨…」
低い声で私の名前を呼ぶと私に近づいてきた…
そして床にペタンと座り込んでる私の目の前で
膝を曲げると私の頭を撫でてくれた…
その手つきがなんだか
妙に優しくて
すごく安心できて
温かすぎて
こらえていたはずの涙があふれてきた…