【詩作家 スカキン】
翔子の場合
嗚呼
今日も友達が一人嫁いだ
あんなつまんない男と
だってあの男
トイレの便座上げっぱなしよ
だってあの男
親知らず虫歯よ
だってあの男
小さいし早いのよ
だってあの男
アタシが振った男よ
くっだらない結婚式
くっだらない披露宴
くっだらない料理
くっだらない新郎
くっだらない友情
くっだらない三十過ぎのアタシ
そしてアタシは
帰路につく
重い引き出物と
帰路につく
一人のアパートへと
帰路につく
いつもより重い扉を開く
玄関の鏡に映るアタシ
両頬に指を立て
首を横に傾ける
両頬に指を立て
精一杯の笑顔を作る
両頬に指を立て
鏡に向かって呟いてみる
『ギザ・カワユスっ!!』
・・・言ってみたかっただけ
いいじゃない?
アタシだって翔子だもん
くっだらない抵抗はやめて
ビールでも飲んで寝る
チキショウ