ムーンライト・リヴァース

悲しい天使

「美月………。どういうこと?」

光は帰り道静かに私に話しかけた。

水木はその後何も言わず帰った。

私もこの先関わる気はなかった。

卒業まで残り4ヶ月。

きっと光とも大学は違ってしまうだろうし、このことは黙ってもらうことを望んでいた。

しかし、予想通り光は私に聞いてきた。

「ねぇ、美月………。翼君と水木君…、何かつながりがあるの?」

「………。」

「水木君はね、美月のことを探りだそうと必死だったよ。」

「えっ?」

過去のことは話したくない…。

でも水木が光にまで手を出していたと知って、少し心が歪んだ。

「私は美月と翼君と水木君…それに時雨のこと…、多分クラスのみんなだって過去のことは知らないと思う。でも、それで美月が心を閉ざしているんなら、解決する方法はあるんじゃないの?」

光はいつも必死に私のことを考えてくれる。

それがたとえ私が光のことを裏切ったとしても…きっと。

でも、私は話すことができなかった。

それほど軽く話せるないようじゃない。

「光……。ごめん…。私話せない…。」

光は一瞬下を向いた。

私はこれでいいのだと自分に強く言い聞かせた。

< 22 / 31 >

この作品をシェア

pagetop