ムーンライト・リヴァース
そろそろHRが始まる。

私の席と光の席は離れているため、光は自分の席に戻った。

そうすると次の難題が待っている。

バスケ部の男子が朝練から戻ってくるのだ。

ウチの学校はバスケ部の人数が多い。

毎年全国大会へ出場している。

そのため入学の倍率は高いし、女子もバスケ部には憧れだった。

ガラっ!

ドアを思いっきりあけて入ってきた。

いつものコトだった。

「あぁ、今日の練習マヂつらかったんだけど!朝からハードなメニュー渡すなよな。」

「おいっ、翼っ!聞いてんのかよ!」

澤西翼。

バスケ部のエース兼部長。

優しくてしっかりした態度がメンバーからも女子からも好感を得ているのだという。

「ごめんごめん。俺だって疲れたよ。だけど、広瀬からの命令だから逆らえないだろっ。」

広瀬というのはバスケ部の顧問。

大柄な社会科教師で、人一倍厳しいらしい。

それは皆が知っている。

「ったく、広瀬のやろう。あいついっつも俺たちいじめやがってな。」

「翼っ!!」

教室のドアの前で女の子が立っている。

これもいつものこと。
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