それは、輝く星空のように
『適当に生きるな』


我がクラスの学級目標である。


それが、教室の黒板の上、時計の真横にデカデカと貼られている。


考案者は学級委員・鮫島弥生。


適当に生きるな・・・いい言葉だ。


最近の若者に足りない、元気と活力を与えてくれる。


「放課後だぞ、ナツ吉・・・ってどうしたの?」


感慨にふけっていると、後ろの席の弥生が声をかけてきた。


不思議そうにこちらを見ている。


「今日も張り切っていこうっ!適当に生きるなっ!」


無気力な若者にならないように努力しよう!いえいっ。


「ああ、あの学級目標のこと?」


頼もしき若者が黒板の上を見上げる。


「あれ、担任に学級目標作れって言われて、気分にまかせて書いただけだから」


発案者が適当に生きてる!


ダメだ・・・日本は終わりだ・・・。


「むぅー、いかんなぁ、いかんぞ。こんな若者があふれているから、日本はダメなんだよ。そうは思わんかワトソン楓くん」


近くに立っていた少女に声をかける。


「そうですね、ホームズナツ吉さん。嘆かわしい状況ですよね。ダメだよ弥生ちゃん、適当に生きてちゃ明日を逃してしまうよっ」


おお、楓もそう思っていたのか!


素晴らしき援護射撃!


「ほら、ワトソン楓ちゃんもそう言ってるぞ。わかったか弥生!いや、現代の病巣、ニート!3月女!」


まったく、これだから今時の若者は・・・!


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