それは、輝く星空のように
「あのっ、せんぱいっ」


わたしは思い切ってみた。


「お礼に、ウチでお茶でもどーですかっ」


七尾菜月の人生のなかでも、結構緊張する出来事だった。


「悪いな」


それは一瞬で砕け散った。


「今から、人に会わなきゃいけないんだ」


ヤクザとでも会うのだろうか。


「そうですか・・・」


彼には彼の都合があるとわかってはいるが、落ち込んでしまう。


「すまんな」


謝りながら、頭に手を乗せてくる。


暖かなその手は、少し恥ずかしいが、くすぐったい。


「また今度、ご馳走になるよ」


「・・・はいっ!」


彼との約束ができて、ただ嬉しかった。


「風邪ひくなよ」


「もちろんですっ」


わたしたちは笑顔で別れた。


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