それは、輝く星空のように
『どうしても・・・ですか?』


「・・・ああ」


智徳には、金を集める理由がある。


例え、全てを裏切ったとしても。


『・・・今度、クリスマスにパーティーをやるんです』


突然の言葉だった。


「何だよ、藪から棒に」


『ナツ吉ちゃんも来ます』


「っ・・・・・・!!」


思わず、電話を落としそうになる。


「・・・・・・」


――冷静になれ。


楓は何も知らないはずだ。


動揺を無理やり抑え込む。


「・・・七尾は、あの施設に行ったことがあるのか?」


『はい、一度だけ』


智徳の問いにはっきりと答える。


『みんな、ナツ吉ちゃんのことが気に入ったみたいなんです。だから、呼んだんです』


「・・・・・・」


楓には、他意はないだろう。


本当に、菜月を誘いたいだけのようだ。


『だから、智徳さんも・・・』


「すまないな、楓」


楓の言葉を遮る。


「今戻ると、俺の人生が無駄になるんだ」


『・・・・・・』


大切な人たちの幸せと、施設の維持。


彼はそのために『羽田智徳』となった。


『待ってます、智徳さん』


そう告げられて、通話が切れた。


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