それは、輝く星空のように
「そんで、ふたつめは?」


「柏木権造だ」


その名が出た途端、恭介の口元がつり上がった。


――やはり、そうか。


智徳はそれだけで確信した。


「立花組の界隈が荒らされているのは知っているな?」


「ああ」


「単刀直入に聞く。それはお前の指図か?」


立花組の麻薬ルートを中本組に教え、その警戒網の穴を突かせる。


この男の立場なら、それが可能だ。


「・・・・・・」


数秒の沈黙。


「そうだよ。中本組のヤツに指図したのはオレだよ」


あっさりと白状した。


「俺の名前を使ったらしいな」


「『ナナオ』って名乗ったことか?」


「そうだ」


何故、恭介がその名を使ったのか。


「俺をはめたいのか?」


智徳の質問に、恭介は不敵な笑みで答えた。


「さあ、どうだろうな?」


笑顔の裏に、確かな威圧感を感じた。


底の見えない瞳。


普段はおちゃらけた変態。


しかし、智徳はそれが仮面だと知っている。


明るい仮面の下に、暗いものを隠している。


それが、柏木恭介の本質だ。


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