それは、輝く星空のように
『ハプスブルク』に入る。


落ち着いた感じの、小洒落たお店だ。


「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」


ウエイターに声をかけられる。


「あ、いえ、待ち合わせを・・・」


わたしは、人見知りが激しい。


慣れた相手には自慢のマシンガントークをくらわせることができるが、知らない相手だと、どうしても口数が激減してしまう。


わたしの根は、内気で人見知りなのだ。


・・・が、店員の顔を見た瞬間、驚いた。


「きょ、恭介さんっ!?」


びっくらこいた。


よく見ると、ウエイターが知り合いだったからだ。


「ハハハ。びっくりしたか?」


いたずらが成功した子どものような笑み。


ワックスで少し立てた茶髪。


メガネの奥にある二重のまぶたが、どこか幼い印象を与えた。


柏木恭介(かしわぎ きょうすけ)。


わたしのバイト仲間で、千歳学園の2年生。


つまり、学校の先輩だ。


例の便利屋は、このひとの紹介だ。


曰く、親友らしい。


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