それは、輝く星空のように
机に置いていた携帯電話が震える。


相手は、あの男だった。


「もしもし」


『俺だ』


獣のいななきを思わせる声。


「お養父さん・・・今日はどうされました?」


うやうやしく挨拶する。


が、用件を聞いて、全身の血が凍りついた。


「しかし、それは・・・」


『これは命令ではない。頼んでいるんだ。恭介』


反論の隙を与えずに、恭介に迫ってくる。


柏木権造は、豚には容赦しない。


ましてや、飼っている豚が手を噛んできたとあっては、尚更だ。


「わかりました・・・羽田に伝えておきます」


考える間もなく、了承した。


了承して、しまった――


「頼んだぞ、息子よ」


それが最後の言葉だった。


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