それは、輝く星空のように
「遅いですっ」


神社の近くの路上で、わたしは文句をたれていた。


「まだ待ち合わせの10分前なんだが」


黒コートのか、か、彼氏が反論してくる。


「こっちはカップめんが作れるくらい待ってるんですよっ」


「たいして待ってねぇじゃねえか」


「女性を待たせるあなたは万死に値します」


「お前、人の話はちゃんと聞けな」


「さあ、初詣に行きますよ」


「・・・・・・」


智徳さんが、わたしを面白げにじっと見ている。


「なんですか?」


「もしかしてお前、あがってる?」


「あ、ああああがってなんかいませんっ」


べ、別に付き合ってはぢめてのでぇとだからって、緊張なんてせんっ。


「なんか、お前さ・・・可愛いな」


素面でハズいことを言われる。


「うるしゃいですね。とっとと行きますよ」


「ああ」


ふたり、肩を並べて歩き出す。


可愛いと言われて内心嬉しがっているのは、ないしょの方向で。


< 211 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop