それは、輝く星空のように
「・・・・・・」


心のなかで深呼吸し、気を静める。


「・・・兄を、探して欲しいんです」


「・・・人探し、か」


「・・・はい」


ナナオさんは水を一口飲んでから、息を吐く。


「何か参考になるものは?例えば、写真とか」


「えっと・・・今は・・・」


カバンを開けて、中身を掘り起こす。


「これくらいしか・・・」


1枚の写真を取り出してナナオさんに見せる。


幼い日の、家族4人の写真。


お父さん、お母さん、おにいちゃん、わたし。


家族4人が、幸せに過ごしていたときの思い出。


おそらくこの頃が、わたしの短い人生で最も幸せだったときだろう。


「・・・ずいぶん古いな。何年前だ?」


写真を手にとって聞いてくる。


「8年くらい前だと、思います」


ぎこちなく答える。


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