それは、輝く星空のように
『七尾晴美と七尾菜月を、あの家から追い出して欲しい』


聞いた瞬間、反射的に携帯電話を握りつぶしそうになった。


全身の血の気が引く。


頭は、ハンマーで何度も殴られた気分だった。


『・・・もういちど、いってくれ・・・』


『二度も言わせないでくれ』


『・・・・・・』


真実、だった。


どうしようもない。


考えられる限り、最悪の事態。


『すまない・・・』


消え入るような声が電話口から聞こえる。


『オレの責任だ』


『謝るなっ!』


智徳は怒鳴り声をあげる。


『謝る相手が・・・違うだろ・・・』


『・・・・・・』


恭介は、何も言わなかった。


中本組を利用した、恭介の復讐。


それが露見したのだ。


その制裁のために、恭介たちになじみ深い七尾家を追いこむ。


権造は智徳が予測した中で、最悪の手段を使ってきた。


手を噛んできた豚に、獣の王が牙をむいたのだ。


勝てるはずがなかった。


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