それは、輝く星空のように
「お養父さん・・・」


柏木恭介は、権造の自宅を訪れていた。


柏木権造は、自室であぐらをかいていた。


「報告に上がりました」


「報告・・・?」


笑っている。


「俺を殺しに来たのではないのか?」


「まさか・・・」


――すぐにでも殺してやりたいさ。


恭介の考えなど、権造には筒抜けだ。


「俺は今、丸腰だ」


自らの不利をさらけだす。


「供のものもいないし、こうしてお前の前であぐらをかいている。また、この部屋の出入り口はお前の入った一か所しかない」


すべての状況が、恭介に味方している。


「殺るなら、今だぞ・・・?」


獣の王が、豚に笑いかける。


その姿に、戦慄を覚えた。


恭介は、戦わずにして権造に敗れた。


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