それは、輝く星空のように
「あまり状況はよくない」


一緒に帰宅していると、智徳さんが言った。


「そうですか・・・」


やはり、無理なのだろうか。


家を守ることは、不可能なのだろうか。


「あんまりウソを言っても仕方ないから言っておくが、今のところはお前らに危害が及ばないようにするのが精一杯だ」


智徳さんの顔には、殴られたようなあざがあった。


それは、わたしたちのためであり。


わたしのせい、だった。


「俺もいろいろな方面から手助けしてもらえるように交渉しているが、難しくてな」


彼の口調に、違和感を覚えた。


気のせいだろうか。


まるで、騙していた人間に謝る時のような。


そんな口調だった。


「ごめん」


いきなり頭を下げられる。


彼の申し訳なさそうな様子に、わたしは恐縮してしまう。


「守るって言っておきながら、俺は・・・」


「いいんです」


わたしは彼をはげますように言う。


「智徳さんが、わたしたちのために動いてくれる。それだけで、いいんです」


わたしは、精一杯の笑顔で応える。


そして――


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