それは、輝く星空のように

苦悩

「・・・・・・」


菜月と別れた後。


智徳は、ある人物に電話をかけていた。


数度のコール音が鳴る。


『はい』


電話口から小さな声が聞こえてくる。


「楓か」


『七尾さん・・・』


偽名で呼んでくる。


「学園は、どうなっている?」


「・・・・・・」


尋ねた瞬間に、沈黙が訪れる。


それだけで、理解した。


「そうか・・・」


――残された時間は、あとわずかだ。


現実が、重くのしかかる。


「今日は、学校を休んだらしいな?」


菜月と会話をしていたとき、そのようなことを聞いた。


『・・・はい』


少女の声が暗くなる。


仕方のないことだ。


智徳がそのことを責める理由はないし、責める意思もない。


「無理だけはするなよ」


「・・・ありがとうございます」


そうして、通話を切った。




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