それは、輝く星空のように
楓が学校を休んだ理由を、智徳は知っていた。


金だ。


アルバイトか何かをしていたのだろう。


すでに調べて、知っていた。


成田学園が、危機にある。


元々、改装する余裕がないほどに経営難だったが、最近の不況と身寄りをなくした子供たちの増加によって、成田学園の家計はさらに圧迫されていた。


特に、この数カ月は赤字続きだった。


それでも、楓のバイト代や智徳が恭介に送らせていた金で生活費をまかなうことで、なんとか維持していた。


しかし、それはしょせん一時しのぎだ。


便利屋の収入など、養護施設の維持費という観点で見れば気休め程度にしかならない。


智徳は焦っていた。


――金が欲しい。


――金を集められるだけの、時間が欲しい。


――それができるなら、神にも悪魔にも魂を売ろう。


その願いが届いたのか。


智徳の携帯電話に一本の電話が入ってきた。


それは、まさに悪魔の誘いだった。


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