それは、輝く星空のように
「もしもし。羽田です」


「オレだ」


電話の相手は柏木権造だった。


声を聞いた瞬間、携帯電話を握る手に強く力を込めた。


「・・・どういったご用件で?」


殺意を押し殺して尋ねる。


「2千だ」


「・・・え?」


不意に、権造への敵意が和らいだ。


「例の仕事は、成功すれば2千出す」


「2千・・・ですか」


たかが家一つに、高くつけてくれるものだ。


ただの脅迫か。


あるいは、恭介や自分への制裁以上の理由があるのか。


確かに、七尾の家が建っている土地は、駅の近くであり、価値があるものだろう。


アパートでも建てれば、かなりの収入が期待できるだろう。


それが権造にわからないはずはない。


にも関わらず、7年もの間、何も建てずに放置していた。


智徳はその理由を知らない。


だが、智徳にとってはどうでもいいことだった。


2千万円。


七尾家を追いこめば、2千万もの大金が手に入る。


それだけの金があれば、成田学園を救うことができる。


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