それは、輝く星空のように
「そんな悲しいこと言うなって。ホラ、美味しそうなピザーラだぞ。
 これ食えばすくすく育つぞーう」


恭介さんが箱を開けると、ピザの匂いが教室に充満する。


確かに、トマトソースとチーズが混ざって美味しそうだ。


「じゃあ、私もらいますっ」


楓がひょいぱく、と先陣を切る。


大物だこの女。


「わたしもいただきまーすっ」


後れを取ったがわたしもいただくことにする。


「食い意地張ってるねー」


ぶつぶつ言いながらも、弥生もピザを一枚取る。


「うん、なかなか美味しいですよー」


「そうだろう、そうだろう、何せこのオレが頼んだピザだからなっ」


恭介さんは嬉しそうに顔をほころばせる。


まさに無邪気な子どもだ。


「さて、君たちの笑顔も見れたことだし、オレは行くぞ」


箱を閉じて退散を決め込む。


「もう行っちゃうんですか?」


「ああ、見つからないうちに食い終わらなきゃいけないからね」


見つかったら教師に大目玉を食らうことだろう。


「じゃあね、バーイ、がーるずっ!」


元気な掛け声をのこして去った。


柏木恭介、常に伝説を追い求める男。


世の人々は、口々に彼をこう呼ぶ。


度を超えた変態・・・と。


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