それは、輝く星空のように
空を見上げる。


星なんて見えない。


見えるのは、薄汚れた雲だけだ。


――妹は元気でやっているだろうか。


捨てたはずの家族を思い出す。


――ちゃんと、笑って生活できているだろうか。


おこがましいと思いながらも、そんなことを考える。


――あいつも、こうして同じ空を見ているのだろうか。


そう思うと、張り詰めていた気が緩んだ。


明日は楽しい楽しい学校だ。


頭を切り替える。


そうでなければやってられない。


智徳は、高校生だった。


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