それは、輝く星空のように
『山田がまた絡んできたけど、恭介さんが撃退。それ以外は特になし』


女らしくない、淡白なメールだった。


「どうやら、問題ないみたいだな」


携帯電話を閉じて呟く。


――鮫島だけでなく、恭介もいるなら心配はない。


しかし、山田か。


彼がストーカーの可能性が出てきた。


いや、確証こそないが、十中八九間違いないだろう。


正直、嫌な相手だ。


無論、本当に嫌なのは彼ではなく、彼の父親なのだが。


「いや、待て・・・」


県警の山田警視正は、公明正大で優秀な人物だ、と聞いたことがある。


うまくやれば、この件に協力してもらえるかもしれない。


智徳は一計を案じた。


その作戦なら、ストーカー退治だけでなく、警察官に借りを作れる。


智徳の仕事には、ヤクザが絡む仕事もある。


警察はヤクザの天敵。


もし、自分の身に危険が迫ったとき。


借りを作っておけば、何かに使えるかもしれない。


一石二鳥、一挙両得。


智徳は心の中でほくそ笑みながら、携帯電話を開いた。


「すみません、自分はナナオというものですが、山田警視正はいらっしゃいますか?」


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