それは、輝く星空のように
「証拠ならある」


そう言って、男は懐から数枚の写真を取り出す。


――昨日撮った、七尾菜月の写真。


「なんでテメェがソレ持ってんだっ!」


山田は激怒して、男に殴りかかる。


だが、男は左手で腕を取ると、右手で山田の首を掴んだ。


「・・・うぶっ!」


息が詰まっていくのを感じる。


強い敵意が、男の腕に含まれていた。


「ひとつだけ言っておく」


背筋が凍るような、冷えた声だった。


「もう、七尾菜月には近づくな」


その目は、どこか怪しい光を帯びていた。


殺意さえ、感じるほどに。


「そうでなければ、ここでお前を殺す」


首を握る力が強くなる。


「本当に・・・殺しかねない・・・」


――頷かなければ、本当に殺される。


そう直感した。


山田は、体験したことのない恐怖と苦しみの中で首を縦に振った。



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