DEATH LIFE
 やけに温かいアユの手の感触に少し安心感を感じた。

 「いやいや、そうじゃなくて。何で俺の手握ってんの?」

 「気のせいでしょ?」

 「んなわけあるかぁ!どこをどう見たって手繋いでんじゃん!」

 手を放せばいい事なのに、俺は何故か放せなかった。

 久しぶりに感じる手の温もりは俺の心にまで届いていたから……

 「嫌なら放せばいいじゃない」

 振り返る事もせずにアユは言う。

 「嫌ってわけじゃないけど――」
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