DEATH LIFE
 「早く食べないと遅刻するわよ、あなた」

 「あなた?」

 アユは驚いた様に2歩下がると、両手で顔を覆った。

 「ひ、酷い!昨日の晩私の体を奪っておいて知らないって言うの!?」

 体を奪っておいて……?

 「……えぇぇぇぇ!?まじで?い、いや、してないよな?俺寝たし……」

 「クスクス……」

 アユは両手の隙間から笑い声を漏らし言った。

 「冗談よ冗談、何もしてないわ。ありがとう」

 そう言ったアユの笑顔は俺が初めて見た笑顔だった。
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